《HOLOSTARS 1st ACT 「JOURNEY to FIND STARS!!」》のオフィシャルレポート公開!@J:COM ホール 八王子
現在SPWNにて2022年1月27日(木) 23:59までアーカイブ視聴チケット販売中!(期限まで何度でも見放題!)
2021年12月26日、男性VTuberグループ「ホロスターズ」が、自身ら初となる全体ライブを開催した。題して、”HOLOSTARS 1st ACT 「JOURNEY to FIND STARS!!」”。この日は、初めて観客を動員する形で全員がステージに立った日であると同時に、もう1つの大きな意味を持っていた。
大きすぎる看板を背負って、2019年に始動したホロスターズ。とても追い風とは言えない旅路を、さらに新型コロナウイルスの猛威が襲う。そして、もしかしたら今日一緒にステージに立っていたかもしれなかった、メンバーの存在……。
先が見えなかった中で、今年6月に発表されたこのライブは、彼らがホロスタ民(ファン・リスナーの呼称)と交わした初めての大きな約束だった。そして発表以降1人も欠けることなく、9人で当日を迎え、この約束を果たしてみせたこと。それが今回のライブが持つ一番大きな意味でもある。
本稿では、そんな初めてのステージで彼らが魅せた輝きをレポートしたい。
ライブは星をコンセプトにした曲中心のセットリストで、この日ならではの特別ユニットを織り交ぜながら、ソロ曲も全員分を順番に堪能でき、最後にはまた全員の歌唱に戻っての大団円。幕間には当日の朝から本番直前にかけての様子を収めたムービーが流れ、実質のメンバー紹介や曲紹介を兼ねていた。箱の全体ライブとして非常にわかりやすく、初期から応援している人も最近ホロスタ―ズを好きになった人も、等しく楽しめる構成だったのではないだろうか。加えて全ての曲に振付があり、最初から最後までアイドルとしてのライブを展開した。
定刻を迎えると、楽屋裏でのメンバーの様子を撮影した動画が流れ、粋な演出に期待感も高まる。オープニングムービーが流れる頃には、発声禁止の会場で、ホロスタ民の心の叫びが轟いているように感じられた。
「Just Follow Stars」のスタートとともに、ステージに姿を現したホロスターズ。1期生の花咲みやび、奏手イヅル、アルランディス、律可、2期生のアステル・レダ、岸堂天真、夕刻ロベル、3期生の影山シエン、荒咬オウガ、以上9名がアイドル衣装に身を包み、キービジュアルと同じ並びで立っている様は壮観だ。客席では9色のペンライトが揺れ、レーザーライトが激しく会場中を照らし、ライブの幕開けを彩る。
普段メンバーそれぞれに歌枠をすることはあっても、全員の歌声がそろう機会はなかなかない。特にライブになるとこれほどのパワーをまとうのかと驚くほど、低音から高音まで厚みのある男性合唱に一気に心を掴まれた。さらに、今日まで彼らが練習を重ねてきたダンスも初めて目の当たりにする。本当ならば思いっきり声を出したい所だが、現地リスナーは全力でペンライトを振り、配信リスナーは怒涛のコメントで今日の出会いを祝した。「Follow Us!(HOLOSTARS!)」のコール&レスポンスも、声の代わりにペンライトでバッチリキメていたことを付記しておこう。
冒頭から全力のパフォーマンスで夢心地にも似た感覚を覚えるが、続くMCムービーではみやびがすでに疲れているし、アルランディスはチョケようとしているし、天真は天然っぷりを発揮するし、シエンの掛け声はなかなか決まらないし……隙あらばワチャワチャし始めるあたり、今見ているのはやっぱりあのホロスターズだ、と実感する。
続く「旅は道連れ」は、特別ユニットのみやび、イヅル、ロベル。普段はなかなか見かけない貴重な組み合わせの3人は、ステージの端から端まで歩き回って手を振る。手拍子の振付ひとつとっても動きは三者三様。今日の全ての曲に共通して言えることだが、同じ振付にも関わらず動きに個性が出まくっているのが、ホロスターズらしい。
「みんな、盛り上がっていくぞ!」と力強く煽り、ソロ曲の先陣を切ったのは見習い騎士・岸堂天真。誰もが盛り上がれるロックナンバー「GO!!!」をカバー、そのさわやかな歌声とステージパフォーマンスに、普段垣間見せる”暗黒騎士”の要素は一切ない。何度も腕を振り上げたり、高さのあるキックを披露して会場の熱量をブチ上げ、ソロ一人目の大役をきっちり果たしてみせた。
興奮状態の雰囲気は一転し、雪の降る映像をバックに魔人・荒咬オウガの初オリジナル曲「Silent Night Requiem」がサプライズ披露される。普段、深夜時間帯に行われるゆったりとした雑談配信が人気のオウガ。オリジナル曲もそんな彼の活動コンセプトを表すような、孤独な夜に寄り添う曲。初めて自分の曲を得た歌唱は実にのびのびとしたもので、持前の低音を余すことなく響かせた。
特別ユニット2組目は、シエン、アステル、アルランディス。「88」(『家庭教師ヒットマンREBORN!』OPテーマ)という選曲で世代層を刺しつつ、自身の魅せ方をよく知っているアステルは指先まで緩急をつけた丁寧な所作、シエンはジャッカル由来の軽やかなステップ、アルランディスは恵まれた体躯から放つ力強い動きと、それぞれに特長の光るパフォーマンスを展開した。
そのまま3組目のオウガ、律可、天真が気鋭のボカロP・Orangestarの「Henceforth」をカバー。変わりゆく空模様をバックに、旅路を行く決意の歌を歌い上げる。その歌詞は彼らの道のりにもリンクしており、律可と天真の高音とオウガの低音が美しいハーモニーを奏で、響き渡った。
燃え上がる炎の中から、獣人の国からやってきたマフィアのボスこと、影山シエンが登場すると、「同期のオウガには負けない」とばかりにこちらも初のオリジナル曲「BEGINNING」を披露。彼の持つ熱さをそのまま詰め込んだようなラウドロックで、コール&レスポンスや頭を振れるパートもそなえたまさしくライブ向きのナンバーだ。
以前発表した「W.I.M.」でラッパーの才覚も見せたチャキチャキのイタリア人・アルランディスは、ソロ曲にCreepy Nutsの「かつて天才だった俺たちへ」という解釈一致な選曲。軽妙なリリック運びでフロアを湧かせる様は、まさしくエンターテイナー。続く奏手イヅルへしっかりとバトンを繋げた。
普段ギターの弾き語りを得意とする奏手イヅルが披露したのは、おもちゃ箱をひっくり返したようなキラキラのポップチューン「セカイはまだ始まってすらいない」。その振付は可愛さに振り切っており、顔のまわりで両手をぎゅっと握る仕草や、腰を左右に振るダンスで、会場中を虜に。可憐な振付の一方、歌唱にはハスキーなイヅル節が効いており、それらが絶妙にマッチすることで彼の新境地を演出していた。
幕間ムービーでのイヅル、アルランディス、シエンの会話をきっかけに、ここからは2組に分かれて「どっちの方が盛り上げられるか」バトルの形式に。
イヅル、みやび、アステル、天真は「Magic Word Orchestra」をパフォーマンス。発表されたばかりの新曲だが、今日披露された個々の表現力はライブという魔法も合わさって、リリース音源よりもさらに進化しているように感じた。<花咲くような黄昏の情景><明日を照らすあなたの言葉><騎士にはまだ成れやしないけど><奏でよう>……それぞれの名前を忍ばせた歌詞を高らかに歌う姿、1期生コンビ・2期生コンビで寄り添う姿に、こみ上げるもののあった観客も多かったはずだ。
対するアルランディス、律可、ロベル、シエン、オウガは、もちろん「Pentas」を披露。バイオリンの情熱的な旋律と少しの危うさを孕んだ歌詞が特徴のこの曲は、ホロスターズの世界観の幅を大きく広げた曲でもある。5人それぞれが妖艶な一面を見せた。
再びソロ曲ゾーンへ。普段はバーのマスターをしているお喋り好きの夕刻ロベルは、12月24日のデビュー2周年配信で発表したばかりの「POP-TALK」を披露した。ロベルの明るさの秘密は、自分をしっかり持っていること。そんな彼の強さがポップな曲調と小気味よい歌詞表現から伝わってくる曲だ。普段はどちらかというと芸人寄りの言動が目立つロベルだが、今日は自分なりのアイドル像を示してみせた。
穏やかでどこか切ない独白とともに、ホロスターズ1人目のメンバー、みやびが登場。彼が歌う「星の唄」は「Magic Word Orchestra」も手掛けたbuzzGが2011年に発表したボカロ曲だ。みやびはライブ後に、「このライブでは絶対歌いたいと思ってた」とツイートしている。自分が大切に思う曲を、丁寧かつ堂々と歌う姿は、ホロスターズのセンターそのものだった。もともと自信なさげだったみやびが、ライブの準備が進むにつれ、次第に「絶対に見に来てほしい」とはっきり言うようになっていった過程を思わず回想してしまう。
のびやかなアカペラでスタートしたのは、ホロロイド・律可による「ホシアイ」。ホロスターズの中でも随一の歌唱力を持つ彼の歌声が、息づかいの一つひとつまで響く緊張感の中、ペンライトもリスナーの心もスモーキーピンクに染め上げていく。<会いに行くよ><星の河渡ってきっと何度でも>という歌詞が、ようやく会えた今日という日の臨場感を強める中、曲の最後に律可は星のような煌めきとなって退場した。
律可が歌った<君と僕を繋ぐ最終列車>、その車掌を務めたのはアステル・レダだった。ホロスターズは今年、今日のライブに向け続々と3D化を進めることとなったが、その最後の1人だったのがアステルである。まだ記憶に新しい12月7日の3Dお披露目を思い出す汽車の映像、その車掌室から登場すると、ライブオリジナルの口上で最終列車の出発をアナウンスする。モニター外まで広がる満天の星空が輝く中、アステルが優しくも力強い歌唱を響かせ、ソロ曲パートを締めくくった。
余韻もそのままに、本編最後の曲「JOURNEY to FIND STARS」を全員で届ける。今回のライブのために書き下ろされた曲で、エンディングというにはあまりに期待感を煽られる、ワクワクするような展開の曲調である。それもそのはず、今日のステージはホロスターズ第一章の終わりであり、第二章の始まりなのだ。<偶然聞こえた歌が 捲ったそのページが 君を変えることもあるさ>――まさに、ホロスターズとの出会いがそうだったというリスナーは多いのではないだろうか。
間奏では1期生、2期生、3期生が順番に右手を上げ、シエン・ロベルの”ばぶどん”コンビ、アステル・イヅルの”アスイヅ”コンビが息の合ったユニゾンでCメロを紡いだ。ラスサビを全員で歌い上げると、最後には全員がキービジュアルと同じポーズを取り、画面の中へと戻っていくような錯覚の中本編の幕が降りた。
鳴りやまない喝采の拍手は徐々に一定のリズムを帯び始め、やがて無声のアンコールに。すると突如モニターに告知映像が流れ、本公演のライブBlu-ray全国発売、ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」とのコラボ、さらにアパレルブランド「CONVERSE TOKYO」とのコラボアイテム発売が発表された。
ワイワイガヤガヤとステージに戻ってきた9人。告知内容を改めてお知らせした後は、和やかな空気の中順番に挨拶を述べた。
正真正銘、今日最後の曲として歌われたのは、「Blessing」。まだ誰も、3Dの体もオリジナル曲も持っていなかった頃、ホロスターズ1周年を記念し当時の1期生・2期生計8名で歌ってみた動画を投稿した曲である。これまでの軌跡の象徴としてぴったりの曲であり、何より当時よりもはるかに上達した個々の歌唱に、頼もしさすら感じた。
変わらないままでは発展しない。変わってばかりでは軸が生まれない。大切なのは変わることと変わらないことの両方であり、1~3期生9名による「Blessing」がそれを再認識させてくれた。
時に誰よりも真摯に、アイドル像と向き合い続けた星。音と詞を通してこそ、秘めたる思いを雄弁に語る星。みんなのヒーローを目指し、邁進し続ける星。音楽の持つ力を信じて、壁を越えいろんな人とつながろうとする星。見てくれる人を感動させるために、試行錯誤を続ける星。人に楽しさを届けるには、まず自分が没頭することの大切さを知っている星。喜びも悲しみも、等しく笑い飛ばしてくれる星。仲間思いで、まわりのために自分が何をすべきか悩んできた星。誰もを守れる強大な力と、それ以上に広大で優しい心を持っている星。
今日このステージで見たのは、そんな9つの星々が輝く瞬間だった。ホロスターズはきっとまたいつか大きなライブを開催するだろうし、もしかしたらメンバーごとにステージに立つ機会もあるかもしれない。もちろん、これから加わる新しい誰かとのステージも。そんな折にもきっと我々は、今日の1st ACTを思い出すのだろう。何度でも。
取材・文/ヒガキユウカ https://twitter.com/hi_ko1208
写真/ゆうと。 https://twitter.com/musicmagic3923
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※いずれも2022年1月27日(木) 23:59まで購入・視聴可能。購入後、期限内であれば何度でも視聴可能。